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廃墟を旅する 

産業遺産や戦争遺跡、時を超えた郷愁への旅路へ・・・

【産業遺産】若松鉱山

認められた産業遺産も朽ち果てていく

若松鉱山
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 夕暮れ迫る鳥取の山の中。重厚な建造物が不自然に表れた。それは一目見て鉱山施設とわかるものであり、本日最後の廃墟探索に相応しい廃墟との出会いに興奮したものだ。
 今回の廃墟は正真正銘、公的機関の認めた近代産業遺産である。戦前からこの鉱山ではクロムを採掘していた。これは金属のメッキに使われるものであるが、この鉱山での採掘量は日本で最大だったらしい。それが認められ輝かしい遺産として登録されたのだが、ご覧の通りの有様である。この建物は荒れるに任せ、朽ち果てるのを待っている。


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 遺産を後世に残すという考えがこの建造物からは感じられない。しかしながら朽ちるに任せて放置するという、見守り保存のような考え方もある。なによりこの廃墟に手を加えて保存をしようものなら、莫大な必要経費が掛かるだろう。そのような財政の余裕が捻出出来ないなら、このようになるのも致し方のないことなのかもしれない。


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 だがしかし、この産業遺産がこの山奥に存在していることを知っている人がどれだけいるだろうか?要は後世にこの遺産の記憶を伝える努力こそするべきであり、それが出来ていない時点で産業遺産として登録されていても、何の意味もない廃墟ではないか。
 日本各地にある全ての産業遺産に言えることである。


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 ということで、この産業遺産を余すところなく紹介していこう。


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 ここから侵入してみる。


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 機械選鉱所とある。


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 内部は複雑な機械が錆びついて鎮座している。人の気配は一つもしない。静寂の世界である。


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 入ってすぐの場所。屋根の落ちた雨ざらしの空間。


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 整理整頓の看板の下には、何かの工具や部品が散乱している。


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 茶色の目立つ視界に白い氷の粒が彩を添える。季節は冬の折。寒々しい光景である。


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 もやは使われることのない部品たちが沈黙して、長い時を過ごす。


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 降り注いだ雨水は凍り付いて動きを止めている。


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 鉱山の労働者が守るべき事項が書かれている。


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 こういう配線をみるとかなりわくわくする。実は筆者は二種電工を持っている。


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 きっと最期の時に働いていた方々の名前だろう。この札を動かすことはもう無い。


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写真では確認しずらいが、かなり暗い。夜の足音がすぐそこまで近づいているのだ。


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 床も崩れやすくなっていて危険である。廃墟では常に先を読み、危機を察知する能力が求められるものである。


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 外はまだ明るい。内と外でまるで違う。異空間にいることを実感できる。


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 選鉱で出た大量の土砂を運ぶためのベルトコンベアーだろうか。


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 機械油とグリスがしっかりと塗布してある。この選鉱場が最期まで使い込まれ、そしてメンテナンスをされていたいたことがわかる。


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 機械の前には人一人が歩けるほどの狭い通路がある。


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 なかなか趣のある階段の作りだ。


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 わずかな光の中で日本の産業を支えた機械たちが輝いている。


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 危険すぎて立ち入りは無理そうだ。


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 狭く細い階段を登って上に行く。


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 天井のわずかな隙間から光が差し込む。


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 天井に細い通路が張り巡らされている。


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 さらにさらに上へ。


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 墜落注意。落ちたら大けがするだろう。


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 いたるところに工具がある。壁のこんなところにもスパナがぶら下がっている。


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 いくらか明るい場所に来た。上層部へいたる道のようだ。


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 当時の生活の跡が散乱している。


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 最上部から下へ、ベルトコンベアーが続いている。


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 下の選鉱所と違って狭く密集した空間だ。


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 外に出てみると、そこには四角い建造物。


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 扉は開いていたが入ることはなかった。


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 最上部にある建造物だ。さっそく入ってみよう。


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 上部にあるためか空が近い。


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 ベルトコンベアーが先ほどまでの下の建造物へと伸びている。


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 これが再上層部である。


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 もうだいぶ暗い。山はあと少しで真っ暗になるだろう。


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 上層部から見える景色は、山奥の中にこの廃墟が浮いているような感覚になる。


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 日本の近代産業を支え、その功績を認められて近代産業遺産に登録された立派な遺産は、現在山奥でひっそりと朽ち果てようとしている。


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 このまま廃墟として無に帰るのか。それとも再評価されてたくさんの人の目に触れられるのか。どちらにせよ、それを選択するのは我々、今を生きる者である。
 そして、どちらにせよこの廃墟はこの場所にあり続けるのだ。

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  1. 2018/04/28(土) 22:21:20|
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【産業遺産】旧八里郵便局

山里の小さな郵便局

旧八里郵便局
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山間の小さな集落に小さな郵便局があった。一見して公民館のようでもあるが、ここは【旧八里郵便局】というようだ。


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小さい建物だが特徴的で凝った作りがそこかしこにある。集落の中でも目立った場所だったことだろう。


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入り口は固く閉ざされている。
今回探索するにあたり、隣の現役八里郵便局の許可を得ることが出来た。


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ビクビクしないで裏口から入ろう。


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小さな建物だけあって内部もこじんまりとしている。


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小さな郵便局でも機能は同じ。ここはオフィスだ。


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こんな静かな集落だ。決して忙しくはなかっただろうが、郵便業務に携わる職員の声が聞こえてきそうだ。


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やり残しの仕事だろうか?


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奥の部屋を見てみよう。


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色あせたカーテンが陽光を遮る。


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こちらはオフィスの反対側。郵便物は持ってないので用もない。


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ひときわ凝った部屋がある。


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この部屋はまるで所長室のようだ。職員の執務室だったのかもしれない。


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別の部屋の一角は植物園になっていた。


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人が使わなくなった建物はすぐに腐食する。やがて廃墟になり、消えていく。


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自然の力の前に人の力はあまりにも無力だ。


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このままだとこの郵便局も無に帰すことになるだろう。


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歴史と思い出をその内部に抱き、今日も誰かが来るのを待っている。

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  1. 2017/02/26(日) 11:47:21|
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【産業遺産】美唄バイオセンター

普通の街角にある異世界の風景

美唄バイオセンター
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 北海道は偉大な廃墟の聖地である。大小様々な遺産がこの大地には残されているのだ。
 ここ美唄にも町中に堂々と巨大な廃墟がある。


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 ごく当たり前な風景に突如として現れる廃の風景。


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 そこに現れたのはまるでプリピャチの光景だった。


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 北の大地は短い夏に向かおうとする5月である。その緑の中に荒涼として朽ち果てた建物が所々に見える。


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 遠くに管理棟の・ようなものがある。


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 アメリカのゾンビドラマ(ウォーキング・デッド)で見たような建物だ。


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 未来建築もあるようだ。


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 近づくと内戦さながらに朽ちている。


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 放置車両もこの通だ。


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 地面を見ると草が倒れている。降雪ですっかり埋まってしまうためだろう。


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 内部へ侵入だ。


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 この崩壊もどうやら雪の重みによるものらしい。北国ではこうなってしまうものなのだろうか?


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 崩落が激しすぎて正面から突破できなかった。


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 お、小さな入口があるようだ。


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 ここはなんの部屋だろうか?天井が崩落してしまっている。


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 管理されなくなった建造物のたどる末路は皆同じだ。


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 美しい廃の風景じゃないか。


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 奥へ進んでみよう。


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 色のない廊下が続いている。


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 トイレのタイルが美しく輝く。


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 予想以上に風化が激しい。


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 侵入者による破壊はそれほどないようだが。


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 時間は最大の破壊者なのだ。


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 勝手にしていれば破壊が訪れる。


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 色がなくなり人の鼓動が消えていく。


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 そして廃墟になっていく。


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 綿のようなものが散らばっている。


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 殺風景な部屋。


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 崩落した正面玄関。


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 ここは通れそうにない。


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 ここまで天井が崩落するものだろうか。


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 風雪は容赦なく吹き込んでくる。


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 日が傾き、もうすぐ夜が訪れる。


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 一風変わって寮のような場所が現れた。


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 調理場もある。


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 木製の床材は苔むして劣化している。乗ったら落ちるトラップだ。


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 整然と並ぶガラスは今と昔を写している。


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 ぽつんと残された靴が強い哀愁を放つ。


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 窓の外では命が巡っている。


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 窓の中では微動だにしない時間が滞留している。


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 淡い色の階段を登って二階へ。


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 着いた。


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 ここも寮のようだ。


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 従業員が暮らしていたのだろうか。


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 なにかの破片が散らばる。


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 シンメトリーな廊下。


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 ここまで内と外の明暗は分かれている。


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 きちんと並べられた靴が持ち主の人柄を表している。持ち主がここに現れることは無いだろう。


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 奥に進む。


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 コンクリート破片妙に散らばる階段。


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 奇妙に破壊されている。これは自然の影響ではないだろう。ちょっと壊されて中止されたのか?


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 バラバラと散乱する破片。


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 どうしてこんな破壊の仕方をしたのだろうか?謎だ。


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 ここも意図的に破壊されている。


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 自然の崩壊も良いが、意図的な破壊も良い。


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 階段を降りて下へ降りる。


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 別の場所に行ってみよう。


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 こちらは別の棟に進むための連絡通路のようだ。


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 完全に崩落している。ここも意図的のようだ。


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 あたりはすっかり夕暮れだ。


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 味のある木製の建物。ログハウスだ。


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 アラームのようだ。スプリンクラーとも書いてある。


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 この廃墟、窓ガラスはみんな見事に破れている。


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 この木製の壁はすごく綺麗に見えるのだが。


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 向こう側はめちゃくちゃだ。


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 奥の部屋は変電設備のようだ。


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 こちらは。


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 現役なら危なそうな部屋だ。


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 再びの廊下。


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 激しい崩落。


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 シリーズ窓枠。


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 薄暗い廊下が奥へ進んでいる。


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 窓の外には激しく劣化したドームのようなものが見える。


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 日本全国でこんなにも非日常な空間が残されている場所がいくつだるだろう。


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 この廃墟でひときわ大きな建物に入る。


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 ここは工場という感じだ。


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 倉庫?


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 あたりには様々なものが散乱している。


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 この黒いものは怪しいが、プラスチックの容器はきのこ栽培のものだろうか?


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 バイオセンターっぽいものがわからない。


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 この謎の容器。地下壕でも落ちていることがある。


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 雪の重みには耐えられなかったようだ。大崩落をおこしている。


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 床材もところどころめくれてしまっている。


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 自然の力は偉大だ。


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 全てを飲み込んで無に返していく。世界中の兵器をフル動員しても、自然に勝つことなど到底出来はしない。


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 不思議な空間が存在している。


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 北の大地でその空間は、今も静かにそこにある。



今年最後のご挨拶
さぁ皆さん!今年も一年お疲れ様でした!

 今年は近年まれに見る波乱の年でありました。常識だと思われていたことが、ことごとく覆って行ったのです。
 英国のEU離脱、熊本等の全国的な自然災害、北朝鮮の相次ぐ挑発行為、中東情勢、オバマ大統領の広島訪問、全世界で相次ぐテロ、そしてなんといってもアメリカ大統領選の結果ドナルド・トランプが次期大統領になることです。世界は人種や宗教問題で孤立化の一途をひた走る。グローバル化の弊害がはっきりと現れ始めた世界情勢は、あたかも第二次世界大戦前夜のような国際情勢に酷似しているように思われます。このまま混沌とした世界が続けば、必ず大きな問題となるでしょう。
 来年1月、早くもトランプ大統領が誕生します。この変化が、さらなる混沌への道なのか、はたまた明るい展望なのか、今の時点ではわかりません。未来は誰にも分からないですが、2017年は波乱の年になるでしょう。

 とりあえず、来年もいい年でありますように。
 ありがとうございましたm(_ _)m

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  1. 2016/09/10(土) 17:33:22|
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【産業遺産】旧豊後森機関庫

白銀のターンテーブル

旧豊後森機関庫
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 昨夜から降り続いていた雪は早朝にはやんでいた。車中泊をしていたので、駐車場で目を覚ますとあたりはすっかり白銀の世界に変わっていたのだ。
そして、昔から一度は訪れたいと思っていた廃墟、「旧豊後森機関庫」も朝の冷気に包まれていた。


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ここは九州の大分県である。
ちょうど朝もやの中を引き裂くように朝日が差し込み始めたこの場所は、日本でも屈指の有名廃墟であり、産業遺産のある場所だ。


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遠くの山々は雪を被り、幻想的な情景を作り出す。


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今回の廃墟を紹介したい。
この廃墟を見ても一見では何なのかわからない人もいるかもしれない。これは、鉄道遺産だ。


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昔の鉄道といえば蒸気機関車が主流であった。この蒸気機関車というのは現在の電気機関車と違い明確に前後の区分がある。車両を格納庫へ格納しようとしたとき、前を向いて入れると、当然出すときはバックで出なくてはならなくなる。しかし、それを毎回全車やっていたのでは面倒だし、どこかで前に向けなくてはならないので効率が悪い。さらに、車両を並列に横に並べるような格納庫を作ると場所や分岐等の装置をたくさん作らないとならない。

そこで・・・


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この装置である。これは「転車台」あるいはターンテーブルというものだ。
円形の装置はこれ自体360度回転する。つまり、この上に車両を載せて回してしまえば、戦車で言うところの超信地旋回をしているのと同じことになる。そして、線路と連接させておけばどこにでも車両を向けることが出来るようになるのだ。
さらに後方に見える格納庫にもひと工夫がある。このような格納庫は「扇形庫」という。転車台と組み合わせると場所をとらないで車両を効率よく格納できる。
このような転車台と扇形庫は国鉄時代に蒸気機関車が活躍していた時には多くの機関区で見ることが出来た。しかし、蒸気機関車が次第に電気機関車に代わって行くにつれて、転車台も扇形庫も姿を消していった。


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現在九州にある転車台と扇形庫の組み合わせはこの豊後森機関庫だけになった。


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第二次大戦中もこの機関庫は重要な交通の要点だった。


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なので米軍機の空襲にあい、機銃掃射で三名の職員殉職者を出している。今もどこかに機銃掃射の跡があるようだが、自分は確認出来なかった。


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現在この廃墟は近代産業遺産のみならず、国指定の登録有形文化財にも指定されており、その保存活動が進められている。


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線路は撤去されてしまったが、この転車台だけでも残ってよかった。


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降り積もった雪が特徴的な転車台の形状を際立たせている。


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こちらは扇形庫。ライトアップされるようだ。


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このような転車台は現存数は少ないが、中には実際に車両を載せて稼働する場所もあるので、興味があれば稼働しているものを見るのもよいだろう。


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こちらは横壁。戦前の建物らしく窓枠が特徴的だ。


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円形の柱が立ち並ぶ。


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新雪を朝日が照らす。


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錆びついたボックス。


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廃墟というより神殿のような雰囲気だ。


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天井は真っ黒だ。排煙のためだろうか。そして排煙のための装置がぶら下がる。


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さぁ、本格的に日の光が差し込んできたぞ。


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冬は太陽の光は弱くなるが、それでも力強い光の柱が出来る。何か光っているな。


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この窓は言い表せないような風景を作ってくれる。


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町は急速に目覚めの時を迎える。


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良い廃墟には良い窓がある。


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全国廃墟窓遺産でも作ろうか。


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倉庫。


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仕切りの向うに行ってみよう。


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そこはさらに広い空間だ。


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窓もずらりと円形に並んでいる。


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ガラスがない場所には植物が巻き付いている。


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白と黒の世界。


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放射状に延びる光の柱。


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朝のほんの少しの時間しか出会うことのできない瞬間。


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まさに奇跡の瞬間に出会いた。


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かつてはこの場所にたくさんの蒸気機関車が格納されていた。


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現在はわずかな名残りしか残っていない。


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だが、全てが無くなったわけではない。


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こうして機関庫が残っていることが奇跡なのだ。


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この風景を後世に残していく。


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それは素晴らしいことだ。


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熱を帯びた光で雪は少しづつ溶けてきたようだ。


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シンメトリーで美しい光景。


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明るさが増す。


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強さを増す光の柱。


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『旧和賀川水力発電所』でも感じた窓枠のマジックがここでも見られそうだ。


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明け放たれたドア。


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一部窓枠が外れている。


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柱には様々な機器が残されている。


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かつての働きが感じられる。


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鉄道遺産らしいものも転がっている。


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少しあったかくなってきたかな。


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この場所にいればいるほど姿を変えていく風景。


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一部では明暗が色濃くなる。


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車輪。


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眩しい。


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この時間を大切にしたい。


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シャッターを切り続けよう。


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円形が広角レンズのような光景を作り出す。


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奥に転車台が見える。


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窓枠を余すところなく見てみよう。


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産業は安全第一。


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『新梨子油力発電所』で同じような光景を見たな。


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無機質な廃墟に光が降り注ぐ。


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床。どうやら木材ブロックのようだ。


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自分を大切に。


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あ、なんて神々しいのだろう・・・


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九州にいるのに、もうすでに次の旅に意識が向いていく。旅愁は尽きることがない。


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今はあまり見ることが出来ないモダンなライトカバー。


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田野も山岳も町も雪化粧している。


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ずいぶんと明るくなってきた。


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別の倉庫があった。ここは鉄道関係の物が散乱している。


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ここも近代遺産としての整備が進めば消えていくのだろうか。


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少し悲しい気持ちになる。


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光の世界へ。


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強い光の柱が伸びている。


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窓の外もさらに白くなっている。


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梯子があるので上に登ってみよう。


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わずかな足場にも雪が積もっている。


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上からは全体が見渡せる。太い鉄骨が伸びている。


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ここからは雪も放射状に吹き込んでいる様子がよくわかる。


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均整のとれたものは美しい。


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それがこの廃墟ではよくわかる。


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そして、その人口の美しさに自然が一味を加える。


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まさに奇跡的な巡り合わせがこの光景を作っている。


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ひとまず下に降りよう。ゆっくりと・・・


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この場所に登る人もそう多くはないだろう。


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しかし、この場所に登らないとみられない光景もある。


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空が青くなってきた。


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すっかり朝に変わっている。


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錆びついた転車台も眩しく照らされようとしている。


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白と黒の世界も少しづつ顔色を変えていく。


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一日が始まろうとしている。


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また何気ない一日が始まる。


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転車台を見ていこう。


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ここで転車台を制御するみたいだ。


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細長く赤さびた制御室。


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白く塗装された鉄骨が奥へと伸びている。


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この転車台がふたたび動き出すこともあるのだろうか。


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辺り一面は白銀の世界である。


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その色が少しづつ濃くなる。ある冬の一日。


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転車台の説明版があった。


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機関庫の裏側に回り込んでみた。


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ここからでも丸みを帯びているのがよくわかる。


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窓ガラスはところどころ割れてしまっているが、廃墟的にはそのほうが良い。


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このごろ産業遺産たる廃墟が次々にこの世から消えてなくなっている。


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 この世の流れ、世間の潮流がそのように廃墟をこの世から消していくのなら、それも自然の流れだ。絶対にあらがうことは出来ないだろう。しかし・・・


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 そのように全てが消えてなくなってしまうことは寂しい限りだ。ことに、このような産業遺産まで、日本の現在の礎を築いてきた遺産まで無くなっていくことは耐え難いものがある。


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 でもこのように後世に残る廃墟もある。そして一握りのこのような廃墟は人々の記憶にとどまり続ける。


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 朝日に照らされた機関庫は、かつての栄光を人々に伝え続けることだろう。

 白銀の世界で産業遺産はより一層輝いているように思えたのだ。


おまけ

旧豊後森機関庫のある大分県玖珠町の観光協会のサイトに詳しい紹介がされています。そちらもご覧ください。
【http://kusumachi.jp/index.html】

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【産業遺産】三井美唄炭鉱変電所

月に照らしだされた北の古城

三井美唄変電所
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 人なんているわけがない。こんな山の中に。
 そこにあったのは中世の古城を思わせる廃墟だけであった。


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 見るからに壁と窓枠しか無い見事な廃れっぷりだ。この廃墟は近くにある三井炭鉱のための変電所跡だったらしい。それを思わせる遺構は今は殆ど見当たらない。


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 近くに寄ってみる。


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 半分埋まったようになっている入り口から内部に入ることにする。


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 空爆でもされたのか。破壊の美学を思わせる。


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 内部にも特に何もないが、わずかに木製の手すりの階段が残っている。


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 やはりこう見ると落城した城のようでもある。


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 廃墟趣味とは、もともと19世紀頃にギリシャ等の廃墟遺跡を巡ったことが起源であるというし、このように古城を巡ることは、廃墟趣味の基本と言えるのではないだろうか。


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 こんなこぢんまりとした廃墟でも、とても良い落ち着いた廃墟美を持っている。


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 窓枠一つとってもここにしかない。この廃墟の持つ美の形である。


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 この角度からの階段が好き。


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 もともと夕方で薄暗かったが、いよいよ暗くなってきた。


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 光が少なくなってくると、廃墟は別の顔を見せるようになってくる。


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 僅かに残る変電所の遺物。


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 空はまだ青い。


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 だが夜は確実に近づいてくる。


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 廃墟を照らしだすように月が顔を出す。


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 月は人類が生まれた時からそこにあり、おそらく人類の最後も見届けるだろう。


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 全ての栄枯盛衰を見ることが出来る月に少し嫉妬し、暗い山道を降りるのだった。

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