思い出は遠くの日々岳集落

とある夏の記憶
埼玉県の秩父の奥地は廃村がひしめいている。過疎化が進む昨今ではさほど珍しくないのかも知れないが、誰もいない集落には、人をひきつける何かがある。そんな魅力に引き付けられて、山の奥へ通じる小道をひたすら進んでいた。

夏の太陽に照らされて濃い緑色に染まった森の中、異様な空間が現れた。

今にも崩落しそうな建物。どうやら到着したようだ。

建物の造りや細工の施し方は、これが近代に建てられたのではないことを物語る。

この場所でずっと昔から人は暮らしていた。

そして居なくなった。

人が居なくなるとあっという間に思い出の建物は廃墟に変わる。

そして朽ち果てていく。

廃村はそんな朽ち果てるものたちの集合体だ。

強い残留思念が残っている。そんなものがここへ人を引き付けるのだろう。

そういえば、この廃村は「SIREN」というゲームのモデルなのだそうだ。
このゲームはあまりやったことがないが、廃墟のような建物が出てきたことは記憶にある

確かに夜きたら不気味な雰囲気はよりいっそう増すだろうな

何件かある木造の廃屋。

古民家として復活できるんじゃないか?

いや、無理そうだ。

内部へ入ってみよう。

当時の生活用品が散乱している

どうしてこんなに物が残っているのだろうか。この家の主は忽然と消えてしまったのか

真相はわからない。調べたくもない

ただ今は誰も居ない

この残留物たちもいつか消えてなくのだろう。

思い出とともに消えてなくなる

でも、こうして自分が写真に納めておけば、いつか消えてなくなっても誰かの記憶にはとどまり続けるかな

すでに解体済みの建物もあるようだ

リヤカーだろうか

人が暮らし、そして居なくなる

いつか世界中に訪れる終焉の風景

日常の風景の裏側には、ひっそりとした終わりの風景が広がっているようだ
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今年も夏がやってくる
- 2015/03/08(日) 16:59:27|
- 廃村
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山に生き 山に死ぬ足尾銅山 鉱員社宅廃墟群

以前【足尾銅山】について、いくつかある代表的な廃墟を取り上げた。今回紹介するのは以前に取り上げていない、気になっていた社宅の廃墟である。ひとつの鉱山が廃山となると、それに付属するあらゆるものが廃墟になっていくものである。この社宅というものもそんな廃墟のひとつであり、かの有名な軍艦島の廃墟も、もともとは鉱員のための住宅だったのだ。
今回は鉱山住宅廃墟をメインに、再訪した足尾の廃墟と、
【大谷グランドホテル】をおまけとして取り上げていく。

この鉱山集落は足尾にある廃集落の一つに過ぎない。

集落のすべては平屋であり、二階建ての住宅はない。

廃集落の神社。かつて信仰の中心だったここの神様を不憫に思う。

内部。残留物はほとんど無い。

本当に静かだ。

階段と塀の石造りがいい味を出している。

まだ肌寒い冬の終わりの季節。

早咲きの桜。時は確実に循環する。

かつては軽快に走っていたのだろう。今は静かに眠る。

まるで
【ニッチツ鉱山廃墟群】のような光景。

もう配達することが無くなって久しい。

トイレ。共同なのだろう。

山奥にひっそりと存在する。

共同の水場。使う人がいなくなっても水は豊富に滴り落ちる。

共同の浴場。今は山で使う木型がおいてあった。

共同浴場からも水場からも、活気のある声は消えてしまった。

だが、声の面影は今もそこかしこに存在していた。
おまけ
クソ暑い夏へ冬の足尾から暑中お見舞い申し上げます!ということで、今回のおまけは冬の足尾の情景を紹介したいと思います。

寒々とした光景。足尾の山は鉱毒の景況で地肌が目立つ。中央は足尾の大煙突。

澄み切った空と白い雲。

サックサックと雪の進軍。

見えてくるのは本山精錬所と
【足尾廃線】だ。

レールの向こうは別世界。

トンネルを抜けるとそこには、

青い空と信号機。

二度と動くことはない。

ここは足尾の別区画。
【通洞動力所】と
【新梨子油力発電所】だ。

不思議な空と電線。

闇の世界と白の世界。

溶接工場。

セピアな世界。

死に行く世界と生まれる世界。

この廃墟は近いうちに取り壊しになってしまうらしい。

もう次にきたときにはこの廃墟は無いかもしれない。

廃墟とはこの世にひと時現れる幻想である。

幻想は幻想へ帰るのである。それは突然訪れる。
さらにおまけ
大谷グランドホテルを再訪した。そのときの写真を紹介したい。

壊れたドア。

風呂場へ続く部屋。この部屋の床は素敵である。このような彩色がこの廃墟を関東の麻耶観光ホテルと言わしめたのだろう。

素敵な窓枠。

風呂場へ突入。

丸窓の部屋。趣がある。

特徴的な蛇口。水が出ることは無い。

ぼろぼろの部屋。

二階の窓枠。かなりいい。

大部屋。ぼろぼろすぎる。もう少し早く来るべきだった。

だが、ぼろぼろでもいいところはある。廃墟探索とはそのようないいところを発見することが一つの楽しみなのだ。

厨房。

窓の外に赤さびた階段。

離れのような建物。扉は開けっ放しになっていた。

大き目のソファー。

小さな椅子。座る人はいない。

さぁ、そろそろ帰るとしよう。

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僕は元気です。
- 2013/08/15(木) 09:46:15|
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山の中にある日窒鉱山廃墟群 下
前回の
【日窒鉱山廃墟群 中】の続きです。

一軒家の廃墟エリアを下に降りてきた。

消防団の建物を横目に見ながらさらに下に。

するとひときわ大きな建物が現れた。ここが公民館だ。

中に入ってみよう。

中は広い体育館のようになっていた。なぜか卓球台が置いてある。以前よりかなり傷んでいた。

二階の手すりも木造。今ではあまりお目にかかれない。

なんだか懐かしい感じがしてくる。そういえば小学校の体育館がこんな感じだったような。

では、密集地帯もここまで。これからさらに集落の下に降りていく。

そしてここである。
【日窒鉱山廃墟群 上】の一番最初の写真に写っている手前の建物がこれだ。

中は物が散乱する。どうやら商店だったようだ。集落に一軒しかない商店。賑わっていたのだろう。

掛け時計も幻想の時の中に。

ここから出る。

商店の隣にある木造住宅。まず日窒鉱山廃墟群に来たら目にする廃墟だろう。雰囲気はいいのだが、あまりに痛みが激しく侵入は不可能。

そのさらに下にある廃墟。

ここは共同浴場なのだ。

暖かい風呂に漬かって、風呂上がりに一杯。と思いながら朽ちた風呂を見る。

今は誰一人住人はいない。

さびしげに電灯もうなだれる。

時は進んでも、この場所はいつまでも幻想の中だ。
集落編 終
おまけ
帰り際に謎の穴発見!これは入るしかない!

穴はすぐにふさがっていた。と思いきや!

上に空間が!昇る!

!!!?トロッコだーーー!どうやらここは廃坑道のようだ。

そして巨大空間、洞窟大探検・・・

は、時間がないのでまた今度。

これはいいもの見つけた!ただし、ここまで来るのに死にかけた。本当に死ぬ、と思った。
次回予告
次回は【小倉沢小中学校】を紹介します。木造校舎が織りなす廃墟美ワールド。おたのしみに!
にほんブログ村初夏の期待
- 2011/05/26(木) 04:16:14|
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廃墟に春が訪れる日窒鉱山廃墟群 中
前回の
【日窒鉱山廃墟群 上】の続きです。

孤立したアパートから見えた下の廃墟まで下りてきた。ここは日窒鉱山廃墟群の中でも比較的新しい建物が多く、ごく最近まで誰かが暮していたような部屋もある。

では、一番は端の大きな建物から見ていこう。

比較的新しいといってもやはりかなり傷んでいる。

廃墟ではよく見かける麻雀牌。昔は娯楽がそれほど細分化されていなかったし、このような山奥では、娯楽などそもそもなかったのだろう。

二階に昇ってきた。

一階は大きな宴会場のようになっていたが、二階は居住区のようだ。

今ではほとんど見かけない足踏み式ミシンが平然と置いてある。廃墟ではよくあることなのである。

来た方とは反対側の階段。階段は非常に丁寧な作りだ。

もと来た方向の階段。よく見ると引き戸がある。

引き戸の向こうは隣の建物へ渡る木造の廊下になっていた。この雰囲気、なんだかトトロを思い出す。

渡り廊下を渡った先から振り向いて、もと来た方向を向く。

この辺りは建物が複雑に建っている。

木を見ると、遅ればせながら春が到来したことを告げていた。

ふと気付くと、何者かの骨が縁側に乗っていた。廃墟に春は訪れたが、この春を見ずして何物かは死んで骨になった。だが、何物かは土に還り、春という自然そのものになったのだろう。自然とはそういうものだ。

廃墟と言えば古い空き瓶、というくらい古いビンが落ちている。このスプライトもいつのものやら。

ということで先ほどの渡り廊下の先にある建物に入った。

やはりだいぶ崩壊が進んでいる。自分が最初に来た時より明らかに荒れているのだ。

二階に行く。

一階同様に二階も部屋がある。どうやら居住棟のようだ。

多少ぶっ飛ぶが別の建物。まだ住めそうな感じ。

二階へあがる。

共用の電話。前にも書いたが、自分の実家では当たり前のように黒電話が現役に働いている。何の不自由もない。

不意に現れたのは、この日窒鉱山廃墟群最大のオカルトである通称「オタク部屋」。足の踏み場もないほどエロゲーの雑誌やら本やらが散乱している。何故片づけていかなかったのか?持っていかなかったのか?
ちなみに本は古めのものが多い。後で片付けたい。

この部屋も不気味さを感じる。誰が寝かしたのかベットに人形が寝ている。なにやらわからない薬が散乱していたりする。ちなみにオタク部屋の隣である。

二階の窓から見える景色。ここから見える建物はすべて廃墟である。

下まで降りてきた。今度は一軒家の廃墟が立ち並ぶエリアを抜けて、さらに下に降りていくことにする。

戦後下町の風景のようだ。この日窒鉱山廃墟群は実に多彩な顔を持った廃墟なのだ。
今回はここまで。次回は廃公民館へと降りていく。
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- 2011/05/18(水) 23:19:06|
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ここに移動してくる山奥の隠れ里
日窒鉱山廃墟群 上

埼玉は奥秩父の山の中。ここに鉱山集落廃墟群が存在する。鉱山の名称は日窒鉱山。この廃墟群はかつて鉱山夫やその家族たちが暮していた、社員のための居住区だ。
日窒鉱山は現在でも稼働中である。石灰石を採掘し、それを加工して運搬している。だが、日本の他の鉱山と同様斜陽であり、この廃墟群を見てもわかる通りである。
自分にとってこの廃墟は思いで深いものである。それは、高校生になり免許をとって、どこかの廃墟に一人でいきたいな、と思ったある日、出かけて行ったのがこの日窒廃墟群であったからだ。それは実質、「廃墟」との最初の出会いであった。それからは幾度となく足を運んだ。昼夜問わずである。なので、何がどこにあるのかはだいたい分かっている。ただ、診療所だけは行ったことがない。
この日窒鉱山廃墟群は広大であり、そのため写真の量も多くなった。なので、これから三回に分けて紹介していきたいと思う。
それでは、ご覧ください。

最初に足を運んだのは、一番集落の端にある作業場からであった。

中へ入ってみよう。

以外に何もない。ここは何をする場所だったのか、今ではよくわからない。

今にも倒壊しそうな感じだ。

思えばこの廃墟は最初発見できなかった。いつかは覚えていないが、何回目かの探訪の際に偶然発見したのだ。

一度訪れた廃墟でも、次に来てみると新たな発見がある。だから、また来たくなる。

廃墟の時間は動かない。だからゆっくりあたりを見渡してみよう。必ず新たな発見が出来るはずだ。

先ほどの廃墟を後にして、川の対岸にある孤立したアパートへ行ってみることにした。川を渡河しているときに、建物が集まっている場所を上から見ることができた。

ひっそりと佇むアパートが見えてきた。

季節はもう春を少し過ぎた初夏といった感じであった。しかし、なんだか冬のようにさびしい風景である。

用途不明の滑車とワイヤー。こういった構造物は非常に好きである。

先ほどのアパートはさしてみるものは無かった。なので、今度は先ほどのアパートの向かいにあるアパートへ行ってみる。

アパートは二階建てとなっている。長い年月放置されているためかなり傷んでいる。

誰もいないドアがひとりでに開いた。風のせいであろう。

中には数少ない生活の跡。酒の瓶が多い。

二階に移動した。木造の廊下が何ともいい感じだ。

反対側の階段は通行不能であった。

廊下に並べられていたカップとクリーム。実は並べたのは自分だ。だが、並べたのはだいぶ昔のことである。その間このカップとクリームは誰の手にも触れられないでここにあり続けたようだ。
そしてこれからもそう在り続けるだろう。この廃墟が崩壊するまで。

もと来た階段を下りて移動する。

当時の鉱山で使われたものだろうか。今は役目を終えて長い休憩に入っている。

本日三棟目のアパート。突き出したコンクリートは階段を止めるためのものだ。

下に見えるのは二棟目のアパート。

裏側の作りはこんな風になっている。裏から侵入する。

お邪魔します。

入ったところは階段ホールだった。

手抜きの感じがしない木造の手すり。コンクリートの壁とうまくマッチしている。

二階は部屋同士がつながっている。しかし、廊下が抜けそうなので探索できず。一回に戻る。

一階の別の階段ホール。階段は完全に腐っている。

というわけで、このアパートの探索も終了。お邪魔しました。

孤立したアパート群とさよならをし、今度は下の密集した廃墟群へ行ってみよう。
今回はここまで。次回は密集した廃墟群を紹介したい。
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- 2011/05/16(月) 08:08:43|
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