廃墟を旅する 

産業遺産や戦争遺跡、時を超えた郷愁への旅路へ・・・

【戦争遺跡・地下壕】大房岬要塞

帝都防衛、東京湾要塞の記憶

大房岬要塞

中村_2950_R
千葉県房総半島、大房岬という場所にかつて要塞があった。その名も「大房岬要塞」。
ところで、「東京湾要塞」というものを知っているだろうか?これは、帝都東京と東京湾を防衛するために、東京湾一帯に構築された要塞と砲台群のことで、東京湾要塞司令部が管轄し、太平洋戦争末期には東京湾兵団が管理した。今回の大房岬要塞もその中のひとつであり、砲台とその関連施設が築かれた。下の図を見るとわかるが、主要な砲台だけで三浦半島と房総半島にいくつも構築された。さらに、猿島は全島が要塞化され、海を埋め立ててそこに砲台を置いた海上堡塁も建設された。
何故これだけ厳重に東京湾を火力で封鎖しようとしたかというと、開国のきっかけが黒船の東京湾襲来であったことを考えると、外国の軍艦がこの東京湾に進攻することは、当時の新政府や後の軍部にとっての最大の脅威であったというのがわかる。そこでこのような砲台群を建設し、容易に外国の軍艦の東京湾侵入を許さない体制を作ったのだ。
これは当時の要塞法に基づき、民間人の立ち入りや写真撮影が厳しく規制される地帯に建設されたものだ。このような要塞地帯は、日本の重要な海峡や内海に建設されていった。東京湾要塞
東京湾要塞の図


中村_8484_R
まずメインの砲台である。
大房岬要塞に設置された砲台は、帝国海軍が進めた八八艦隊計画がワシントン海軍軍縮条約で頓挫し、廃艦が多数出た際、その廃艦の砲台を再利用できないかということで要塞設置が検討され、実際に設置されたものだった。
この大房岬要塞に設置されたのは、巡洋戦艦「鞍馬」の砲塔で、20cm連装砲塔二基だった。
現在砲があった場所は、一つは花壇に、もうひとつは展望台となっている。


中村_2952_R
これは要塞の発電所である。


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コンクリートでしっかりと作られている。内部に入ることはできない。


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発電所の上部には二本の煙突が建っていた。


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敷地内の各所に閉鎖された入口がある。


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開いている施設入口。非常に頑丈な作りが見て取れる。


中村_2962_R
そして、この要塞の現在のメインが現れる。


中村_2969_R
第二掩灯所である。
ここは防空用のサーチライト「探照灯」を地下になっている格納庫から地上に上げるための昇降機があった場所だ。今は全くの廃墟だが、巨大な空間が日の光を受けて、幻想的な雰囲気を作り出している。


中村_2973_R
まるで神殿のような趣だ。


中村_2961_R
先ほどの昇降機の巨大な穴を上から見る。ここを探照灯がせりあがってきたのだ。


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場所は変わり、砲台の近くにコンクリートでできた頑丈な掩体壕を発見した。少し探さないとわからないかもしれない。


中村_2981_R
これは、砲に使用する弾薬を貯蔵する弾薬庫だそうだ。


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内部には弾薬を貯蔵する部屋が二つあった。これと全く同じ弾薬庫がもう一つあった。


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最後に、この要塞に作られた太平洋戦争の末期の記憶を見てみよう。
これは「魚雷射堡」といわれるものだ。魚雷とは、軍艦に向かって水中走行し艦の喫水線下に命中すると爆発し、穴をあけて艦に浸水をもたらす水雷兵器のことだが、これはその魚雷を、東京湾を航行する敵艦に対し陸から発射して当てようとするために建設されたものだ。これから考えられるのは、敵艦が東京湾に侵入するくらい、米軍の本土に対する進攻が予想されるような戦況になってしまっていたこと、すでに魚雷を投射できる有用な航空機や艦艇が無かったこと、といった日本軍の切迫した状況が感じ取れるのだ。


中村_8466_R
当時のものであろうか、「弐号」や「五期」といった文字が岩肌に彫られている。


中村_8475_R
要塞の手抜きのない作りと、戦争末期の切迫した急造建築という、異なる二つの戦争遺跡を見れた要塞だった。











  1. 2011/02/09(水) 03:00:43|
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