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廃墟を旅する 

産業遺産や戦争遺跡、時を超えた郷愁への旅路へ・・・

【廃線】東京都港湾局専用線 晴海線

再開発されない停まった時間 廃線奇行

東京都港湾局専用線 晴海線

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豊洲とは東京都の埋め立て地、瀟洒なマンションが連立する再開発地区であり、一見すると廃線などあるようには思えない。しかし、そこだけ時が止まったかのようにその廃線は存在する。それはまるで、かつて港湾鉄道として栄華を誇った鉄道の、墓標のようでもあった。
今回紹介するのは東京都港湾局の貨物専用線であり、主に、多くの遺構が残っている晴海線である。この東京都港湾局専用線は戦後間もなく開業した。その後貨物や石炭輸送のために晴海線や他の線路も開通した。この鉄道が運んだ大量の物資は、東京と日本の経済成長を支え、現在までの基礎を作ることに大いに尽力した。しかし、いづれの鉱山や廃線がそうであったように、この鉄道にも斜陽の時が訪れる。1970年代に入ると鉄道輸送に変わってトラック輸送の利用が多くなり、また、エネルギーの転換に伴ってそもそもの港湾機能が衰退し始める。そして、一つまた一つと路線が廃止されていき、平成元年2月9日、最後まで残っていた晴海線も廃止になり、その歴史に幕を下ろした。
その後は現在まで放置されていたが、この地の再開発に伴って次第に遺構は姿を消している。だが、完全に無くなった訳ではないのだ。ひっそりと都市の片隅で存在し続けている。

では、まずはこの廃線の始まり、かつての留置線跡から見て行こう。


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この境界石は旧国鉄のマークが入っている。ということは廃線はこの近くにあるということだ。


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そして、自分の眼前に、瀟洒な街並みとは異質な廃の空間が現れた。


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紛れもなく廃線である。奇跡的な出会いに感動する。


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20年以上もの間、よく外されずに残っていたものだ。


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ちゃんと枕木もレールも敷き石もある。完全に周りと違う時間が流れていた。


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こんなところに廃線があるなんて思いもしなかった。


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線路以外にはほとんど何もない。だが少しは当時の遺物と思われるものが存在する。
用途不明の錆びた車輪。


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壁面に残る記号。


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たった数十メートルではあるが、東京都の豊洲にこんなものが存在していることは異質という言葉以外に無い。自分から見ると最高に感動的である。


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かつてこの上を列車が走っていた。そう考えただけでもロマンがある。


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この線路の先が現在でも現役の路線とつながっていた。今は民家に直撃している。


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夏の暑い陽射しの中、鉄路は熱くなっていた。


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自分はこの場所から、ところどころに残る東京都港湾局専用線の墓標を訪ねる旅に出ることにした。


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この空地はかつて線路が通っていた場所。緩やかなカーブを描いているのがその証拠である。


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空地の先に進むと川がある。この場所にはかつて鉄橋があったが今は無い。だが、金網に囲まれた一角になぜか撤去されないで残っている遺構がある。


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信号などの制御盤だろうか?


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そして、数メートルだけ残されている線路。何故ここだけ残されたのか全くの謎である。奇跡的な空間だ。


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先ほどの一部の線路から少し歩いた。場所は、一番最初の写真のマンション群の後ろの水路である。そこにも遺構があった。


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かつては鉄橋があったのだろう。コンクリート製の橋げただけが今でも残っている。


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当時はこの場所を列車が渡っていたのだ。


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鉄橋の先に続く通路。ここも当時は線路だったのだろうか?


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町のあちこちに鉄道が走っていたことを伝えるアートのようなものがある。これもその一つ。


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海に続く道のわきにもレール。しっかりと歴史を伝えている。


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ふと案内板を見ると「鉄道橋」と書かれていた。実はこれは廃鉄橋なのだ。廃線の事がこのように案内板に書かれていることは非常に珍しいことだ。この地域ではこの鉄橋はよく知られた存在らしい。
この鉄橋は晴海線の鉄橋で、晴海橋梁という。この廃線一番のメインであり、その情景の良さから、しばしばこの橋だけを廃墟本などで目にすることもある。


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そしてこれが実際の晴海橋梁。特徴的な鉄製のアーチがあり、遠くからでもすぐにわかる。


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近づいてみるとかなり大きな構造物であることが理解できる。


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ここまで暑い中歩いてきたかいがあった。この感動的な橋梁を見て、暑さなど等に忘れていた。


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立派な橋梁と線路を見ていると、つい時間を忘れてしまう。


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となりの橋からアート部分を見る。その構造美に圧倒される。


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鉄橋の付け根部分。


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鉄橋の中央にある台。なんのためのものなのかは不明。


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廃線とは悲しいものである。かつてはみんなに必要とされ、輝いていた時期が必ずあるのだ。だがその時期が終わり斜陽の果てに待っているのは廃線という眠りの時期である。だがそれは決して死ではない。かつての栄華を今に伝える残照であり、その残照を認める誰かもまた必ず存在するのだ。この晴海橋梁を見ているとそう思えてならない。


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今回探索したのは晴海線だけなのでそこだけ地図に書き込んだ。


おまけ
豊洲で見つけた変なもの
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キノコが生えた車輪


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これは「トヨスノコシカケ」というものだ。かつて造船所で使われていた車輪を再利用してアートにしたものらしい。これもかつては廃だったのか。


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転がった車輪


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放置された巨大な鎖


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地面にめり込んだ車輪。そばにはレールも見られる。この辺はお洒落な感じになっている。


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近未来的な形をした船。これは東京都観光汽船の「ヒミコ」。かの松本零士氏がプロデュースしたものだ。どうりでこの形か。


さらにおまけ
今回の動物
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今回は川で見つけたクラゲ。意外とどこにでもいる。死んでいるのか生きているのかわからない。


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泳いで何処かへ行ってしまうクラゲ。生きていたのか・・・。

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過去から未来へ伸びる残照。
  1. 2011/09/27(火) 03:46:43|
  2. 廃線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

都心部にもこのような風景が残っていたのですね。いやぁ、驚きです。木場辺りは良く行くのですが、今度周辺に行ったら是非散歩してみたいです。地図、参考になります。
  1. 2011/10/04(火) 18:29:28 |
  2. URL |
  3. BigDaddy #COVj8X2A
  4. [ 編集 ]

BigDaddyさん

東京都心に近い場所にもこうした廃墟は結構存在しているんですよ。特に晴海線はアクセスもしやすいし、手軽に探訪するならいい廃線です。
この近くの勝鬨橋も歴史が感じられていいものですよ(^u^)
  1. 2011/10/05(水) 00:06:09 |
  2. URL |
  3. 東雲みょん #-
  4. [ 編集 ]

こんばんは。
廃線跡探索の記事、楽しく拝見しました。丁寧に路線跡を歩かれていて、興味深く感じました。
豊洲界隈は昔の面影など全く消え去り、完全に過去を切り離した街なのかと思いきや、点々と遺構が残されているのですね。
晴海橋梁には私も夜景を見に訪れたことがあります。
http://kazetabiki.blog41.fc2.com/blog-entry-868.html
ここを、貨物列車が走っていたかと想像すると、それだけで高度成長期の勢いが浮かび上がってくるかのようです。
今後とも、宜しくお願い致します。
風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/
  1. 2014/03/13(木) 22:05:26 |
  2. URL |
  3. 風旅記 #O7xVy9HA
  4. [ 編集 ]

風旅記さん

この晴海線は不思議な感じのする廃線でした。大東京の新興住宅開拓地の中にひっそりとあるわけですから。東京二十三区も時代を色濃く遺しながら成長しているんだなと思いましたよ。
中でもひときわ晴海橋梁が目を引きました。いろんな廃橋梁がある中でも、実に印象深いものになりました。

また、廃線探訪の記事を掲載しましたら是非お越しください。

勝手ながら、ブログリンクしておきました
  1. 2014/03/15(土) 00:14:41 |
  2. URL |
  3. 東雲みょん #-
  4. [ 編集 ]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2015/04/17(金) 21:50:16 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集 ]

承認待ちコメント

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  1. 2016/01/06(水) 13:14:52 |
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