廃墟を旅する 

産業遺産や戦争遺跡、時を超えた郷愁への旅路へ・・・

【産業遺産】足尾銅山 通洞動力所

足尾の歴史は過去から現在へ、未来へ

足尾銅山 通洞動力所

IMG_7197_R.jpg
足尾銅山という鉱山を御存知だろうか。
この鉱山が発見されたのは江戸時代の前だという。本格的に開発が始まったのは江戸に入ってからであり、ピーク時には1,200トンの銅産出量が莫大な富と繁栄をもたらし、この地方は大いに栄えたようだ。その後、江戸から明治にかけていったん閉山状態になる。だが、新たな銅鉱脈と新技術の導入で再び活気を取り戻し、20世紀の初めには日本の銅生産量の4分の1を担う大鉱山に発展していた。この輝かしい歴史の陰で、足尾銅山は負の歴史も刻むことになる。それは、我が国始まって以来の大規模公害の発生であった。
日本で公害というと、真っ先に四大公害病を思い浮かべるだろう。だが、この足尾鉱毒事件はそれよりもはるか昔に発生した最悪の公害である。主に、工場施設からでる排煙は酸性雨をもたらし、周りの山や森は一面はげ山とかした。排水に含まれていた鉱毒(金属イオン、カドミウムなど)は周辺の激しい水質汚染を発生させ、魚は死に絶えた。さらに悪いことに、山の木が無くなり保水力が無くなったことで、台風などの大雨で洪水や土砂崩れが頻発した。そして、洪水が起きれば鉱毒は大幅に拡散され、広範囲を汚染した。コメや農作物からもカドミウムが検出され、周辺住民にも健康被害が続発した。このような現状を憂い、時の政府に現状打開と保障などを訴えるために立ちあがったのが、衆議院議員田中正造であった。田中は議会で演説し、明治天皇に直訴するなど決死の運動を展開した。これが、我が国最初の近代的公害反対運動であった。だが、この当時はやはり産業優先の機運が高かった。反対した住民を弾圧したのだ。だが、戦後になって公害に対する対策は進んだ。さらに、先の四大公害が次々と発生、公害を無視することが出来なくなっていった。その後、1973年に足尾銅山閉山。その翌年に住民と企業の和解が成立。足尾の自然は徐々に復興していく。水質の浄化や植林を行い、現在の足尾銅山周辺は豊かな緑に囲まれるまでになった。

光と影をその歴史に内包した足尾銅山。今回から三回に分けて【通洞動力所】【新梨子油力発電所】【足尾廃線】を紹介していきたい。


IMG_6977_R.jpg
まず最初に紹介するのは通洞動力所である。この建物は主に坑道で利用された掘削機のための圧縮空気をコンプレッサーで作りだしていたようだ。非常に残念なことだが、写真を見てわかるように、木造の建物の半分が倒壊してしまっている。ごく最近になって倒壊したと思われる。ここに来る前に東北大震災や大きな台風があった。いずれかの原因で倒壊したのだろう。また一つ廃墟がその生涯を終えようとしている。


IMG_6979_R.jpg
非常に鮮やかなレンガ造りの外装が見て取れる。当時の建築そのままに今に伝わっているのだ。


IMG_6989_R.jpg
通洞動力所に行く前にこの建物の前を通過した。階段の作りが特徴的なこの建造物は「通洞変電所」である。各地から送られてくる電力をここで調整したのだ。この窓枠からもわかるように、この変電所も戦前の作りである。内部は現在も使用されているため侵入不可能。


IMG_6998_R.jpg
珍しい配線の電柱があった。


IMG_6999_R.jpg
右の建物が通洞動力所。奥の四角い建物が次に紹介する新梨子油力発電所である。
では、さっそくその内部へ入ってみよう。


IMG_7001_R.jpg
通洞動力所内部。前々から訪れてみたかった足尾銅山の廃墟美が、そこかしこに現れ始めた。


IMG_7002_R.jpg
入り口近く。


IMG_7004_R.jpg
内部には古めかしい当時の工作機械も残っていた。


IMG_7007_R.jpg
このレンガの感じは、明治期の日本軍の要塞建築を思わせる。


IMG_7009_R.jpg
赤い木枠がそこら中にある。何かの鋳型だろうか。


IMG_7012_R.jpg
天井に明かり取りがあるようだ。


IMG_7016_R.jpg
その明かり取りから僅かな光が入ってくる。


IMG_7021_R.jpg
戦前、戦中の廃墟には総じて言えることだが、この足尾鉱山も窓枠がかなりいい雰囲気を出していた。


IMG_7011_R.jpg
先ほどの明かり取り。窓ガラスはかろうじて生きているようだ。


IMG_7018_R.jpg
窓枠によって切り取られた空。青さが際立って見えた。


IMG_7025_R.jpg
床。濡れて湿っている。


IMG_7029_R.jpg
本当にいい廃墟は壁すら絵になる。一部足りとも悪い所がないのだ。


IMG_7031_R.jpg
内部から外に出た。このように手の込んだ外装は現在ではやらないだろう。


IMG_7195_R.jpg
配線のための三角形の支柱が特に気に入った。


IMG_7190_R.jpg
今度は崩壊してしまった方の部屋に入ってきた。


IMG_7036_R.jpg
かなり損傷が激しい。


IMG_7192_R.jpg
屋根は完全に崩落している。


IMG_7037_R.jpg
崩落した内部を進んでい行く。


IMG_7040_R.jpg
黄色い支柱。クレーンだと思われる。


IMG_7042_R.jpg
当時の物だろうか。プレートがかかっていた。


IMG_7041_R.jpg
廃墟は何時無くなってもおかしくない。それをあらためて思い知らされる。


IMG_7049_R.jpg
季節は秋の中ごろである。太陽はすでに大きく傾き、斜陽が廃墟を照らし始めていた。


IMG_7062_R.jpg
太陽が雲に隠れて一瞬光を遮る。すると、かなり印象の違う雰囲気になった。廃墟とは生き物である。なので季節や天候、日照によってその印象を様変わりさせるのもなのだ。


IMG_7054_R.jpg
ん?これは。「けいおん」の唯ちゃんではないか。なんでこんなところに張られているのか。けいおん見たこと無いし全くわからん。


IMG_7055_R.jpg
古い工場などでよく見かけるもの。電源のレバーだろうか。


IMG_7051_R.jpg
この扉の向こうには『新梨子油力発電所』がある。詳細は次回を待たれよ。


IMG_7068_R.jpg
扉を抜けて通洞動力所の外壁を見る。すると装飾が施された壁が現れた。


IMG_7184_R.jpg
この壁は足尾の歴史を見続けてきたのだろう。


IMG_7069_R.jpg
産業黎明の時代から現代まで、日本の成長を支え続けた壁とも言える。


IMG_7044_R.jpg
その壁も今や崩壊の瀬戸際を迎えている。
この壁が足尾銅山の歴史とともに、一日でも長くこの姿を保っていてほしいと願うばかりである。

通洞動力所は以上です。次回は『新梨子油力発電所』を紹介します。


おまけ
IMG_7213_R.jpg
日光華厳の滝にて。なんかガサガサしていたのでライトを当ててみると、
う「しかでした」


IMG_7216_R.jpg
山の奥に逃げて行く鹿。廃墟探訪をしているとわりとよく見かける鹿。


次回予告
IMG_7169_R.jpg
廃墟の神の居る場所へ、あなたを御招待します。

にほんブログ村 写真ブログ 廃墟・廃屋写真へ
にほんブログ村
ランキング参加中。上のバナーを押していただくと大変うれしいです(^-^)

【掲載廃墟一覧】
今までに掲載した廃墟の一覧へ飛べます。

山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる

  1. 2011/11/30(水) 03:19:22|
  2. 産業遺産
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<【産業遺産】足尾銅山 新梨子油力発電所 | ホーム | 【掲載廃墟一覧】今までの軌跡>>

コメント

コメントは初めましてです。

以前から拝見させていただいております。

- - - - -

通洞動力所跡ですが7月辺りに自然崩壊したと地元の方から教えて頂きましたが詳細は解りません、銅山関係者は当然知っており、正式に解体する様な話も出てきました。

貴重な産業遺構が消えていくのは本当に残念です、因みに「唯」は4月には既にここに住んでおられました。
  1. 2011/12/02(金) 11:36:27 |
  2. URL |
  3. nee #IOg9bXQk
  4. [ 編集 ]

neeさん
閲覧ありがとうございます(^-^)
七月ですか。地震の影響なのかも知れないですね。今回の地震で東北地方の廃墟や戦争遺跡もだいぶ被害を受けたのではないかと思っています。足尾銅山を世界遺産にしようという動くがあるのに、大事な遺構を解体してしまっていいんですかね?
唯ちゃんはなんのために張ったんでしょうか。真意は不明ですね。映画化記念である可能性も・・・無い
  1. 2011/12/02(金) 19:26:15 |
  2. URL |
  3. 東雲みょん #-
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://haikyotabi.blog33.fc2.com/tb.php/80-8c6d627b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

東雲みょん

Author:東雲みょん
どうもこんにちは。東雲みょんといます。

このブログは日本の産業遺産や戦争遺跡といった廃墟を紹介しています。

日頃廃墟に旅に出ている自分です。

【掲載廃墟一覧】
今までに旅に出た廃墟の一覧です。

リンクフリーです!同じ趣味を持った人、そうじゃない人もどんどんリンクしちゃってください。

【Twitter始めました!】
廃墟の情報交換や意見交換などから、雑談まで、お話ししたいことがあったらどんどんお越しください!

検索 @tisyaki

最新記事

カテゴリ

未分類 (7)
掲載廃墟一覧 (1)
産業遺産 (25)
戦争遺跡・地下壕 (24)
廃線 (12)
廃校 (12)
廃村 (6)
宿泊系廃墟 (12)
娯楽系廃墟 (8)
不思議系廃墟 (9)
廃病院 (10)
心霊スポット (5)
廃アル風景 (2)
一軒家系廃墟 (2)
廃車館 (1)

最新コメント

twitterはじめました!

最新トラックバック

FC2カウンター

フリーエリア


バナーが出来ました。

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

謎のエリア

にほんブログ村 写真ブログ 廃墟・廃屋写真へ
にほんブログ村 鉄道ブログ 廃線・未成線へ
にほんブログ村