夏島の衝撃再び夏島地下壕 再探訪

以前
【夏島地下壕】を紹介した。この夏島地下壕とは横須賀に掘削された海軍の巨大壕であり、大東亜戦争末期に作られた本土決戦用の遺跡である。この壕は海軍航空技術廠(空技廠)のために作られ、主に三階層よりなっている。一階は「倉庫壕」「航空機掩蔽豪」「クレーン壕」「多目的壕」(筆者が勝手につけた名称)からなり、二階には網目状の壕があり、三階目は完全に封鎖されている。さらに、頂上には明治に構築された東京湾要塞の遺構も存在し、とても魅力的な戦争遺跡なのだ。
今回は、以前では紹介できなかった場所や、暗くて詳細でなかった場所などをもう一度紹介していきたい。
それと、今回はマイミクのかっぱさんと残留農薬さんと御一緒に回った。人物との対比で、よりこの壕の大きさがはっきりしてくるだろう。
では、今再びの夏島へ。

いきなり現れたのはクレーン壕の入り口である。見ていただくと、壁に窪みとそれから伸びる細い窪みがわかるだろう。これは、かまどとそのための排煙装置の跡と思われるものである。これは以前紹介できなかったものだ。このように、地下壕には当時の生活を思わせる遺構も残っているのである。

通路非常に綺麗に掘削されている。人との対比でどれほどの大きさかわかるだろう。

通路を進んだ先にある巨大な空間。崩落と水没がある。壁際にある金属の遺物と台座は、おそらくこの場所にクレーンのようなものがあったのではないかと推測できる遺構である。

再び通路。これも非常に綺麗だ。天井には碍子が残る。この通路はどうやらコンクリートで舗装されているようだった。

通路の先には、またもや広い空間が現れる。

組まれた木材の瓦礫。これがクレーンの残骸と言われているものだ。

木で出来た扉の枠。金属の蝶つがいは今でも動く。戦後60数年たった現在でも、このような姿をとどめているとは驚きである。


箱の残骸と思われる。これとほぼ同じものを、いずれ紹介する【貝山地下壕 上部壕】で見た。サムネはその時の物である。作り方が簡単であり、本土決戦が迫る中では、このようなものまで簡素化する必要があったのだろうか。

綺麗に削られた木の遺物。用途不明。

クレーンの歯車であったと思われる物。錆ついている。

暗闇の中で当時の記憶を鮮やかに残している。

いきなり飛ぶがここは多目的壕である。複雑に入り組んだ通路からできており、その掘削は非常に綺麗。

ここは地下迷宮と呼ぶにふさわしい場所だ。

壁に作られた棚。こうした棚の作りは各所の地下壕で見ることができ、沖縄の海軍司令部壕でも同じであった。

錨のマークの海軍食器。ホーロー製。

以前も紹介した三田土ゴム製造株式會社の箱。地下壕にはいろいろなものが落ちている。

こちらは航空機掩蔽豪の壕口。コンクリートで封鎖されている。

完全に封されているわけではないので内部に侵入。上の写真は内部の様子。

派手に水没している区画があるので、壁伝いに進んでいく。

内部は埋め戻しにあっているのだが、それでもなおこの巨大な空間がある。

水は何だが濁っている。

これはさっき歩いていたのとは反対側の壁に出来ている通路。これを進む。

地下壕にはいろいろなものが落ちているものだが、なぜか下着が放置されていた。これは心霊とかとは別に気味が悪い。

壁には穴が開いていた。そこへ入ってみると狭い通路が伸びていた。

やかんが放置されていた。当時の物かは不明。

それほど広くないが部屋のようなものがあった。しかし、下は油のようなものを含んだ黒い水で水没しており進めなかった。

下に見えるでこぼこは、おそらくトロッコの軌条が敷設してあった跡だろう。

狭い通路からでる。奥に見える穴は、この壕と隣の壕をつないでいる結束通路の出口。

この航空機掩蔽豪は巨大な十字路がある。その十字路を先ほどの通路の壕から見て左に行ってみる。すると、広い空間があり、キャタピラ痕があった。この壕を埋め戻す際に出来た跡だろう。

封鎖された壕口の右に通路がある。ここは埋め戻しのため高い壁のようになっているのだ。そこを下りて行く。
それにしても、お二人ともタフである。かっぱさんはウェダー着用のため、水没区画も物ともせず前進する。

なんだかよくわからなくなっているが、これは車の残骸だ。いつからここにあるか分からないが、戦後放置されたのだろう。米軍のものだろうか。

その先の空間。水没しているため前進できず。本当に綺麗な掘削で感動する。

再び崩落のような箇所を登り元の巨大空間へ戻る。

人との対比で本当に巨大な空間であることがわかるだろう。これなら、かなりの数の航空機を収納することが出来るはずだ。こんな空間が人知れず存在するのが夏島なのだ。

コンクリートで封鎖されている壕口までここから相当の距離がある。

最後に、倉庫壕の壕口にある鉄格子を内部よりみる。
以上である。
以前には紹介しきれなかった夏島地下壕の巨大さを実感してもらえただろうか。実は横須賀でこのような巨大地下壕が掘削されたのは夏島だけではない。周辺に「貝山地下壕」と「野島地下壕」という、これまた巨大な地下壕が存在するのだ。それだけは無く、横須賀をはじめとして三浦半島や房総半島には無数の地下軍需工場、抵抗拠点、倉庫壕が存在し、砲撃のための陣地や対空砲座もそこかしこにある。これだけを見ると、いかに本気で軍部が本土決戦を考えていたか推測できる。その裏で着々と終戦工作は進んでいる。思えば大東亜戦争が始まる前にも、海軍と陸軍の間で、南進と北進が同時進行し、大量動員をかけた結果政府も軍も戦争以外の道が無くなった。その反面、アメリカとは和平を模索した日米交渉が続けられている。大日本帝国という国家は、戦争が敗北以外無くなった末期ですら、その体質を変えることが出来ず、軍部と政府、陸軍と海軍という最重要な組織の意思疎通と統一が出来ずに崩壊したのである。
あとに残された大量の戦争遺跡は、そうした過ちにたいして考えなければならないと、問いかけているのかもしれない。これは、現在の政治や国防、一般社会に対しても言えることである。強い決断力と意思決定、そして断固たる行動の出来る日本になってほしいと願うばかりである。

夏島地下壕の壕内図です。縮尺はいい加減です。多目的壕は複雑すぎて無理でした。
今日の出来事
今日は1902年(明治35年)に八甲田山雪中行軍遭難事件のあった日です。(正確には遭難一日目)この時遭難したのは日本陸軍第八師団歩兵第五連隊であり、210名中199名が凍死などで殉職するという最悪の事件になってしまいました。これは雪山での冬季訓練中に起きた事故であり、部隊は地図とコンパスのみで八甲田山を踏破しようとしました。しかし、天候不順からルートも分からなくなり、最後はバタバタと凍死していったらしいです。いくら最新の軍隊といえど、過酷な自然環境には勝てなかったのです。
上は「雪の進軍」という軍歌です。八甲田山とは直接関係ない日清戦争のころの歌ですが、寒々とした情景と兵の生活が感じられます。
そういえば東京にも雪が降るくらいこのごろ寒いですね。朝などは雪が積もって、雪の進軍になってしまわないか心配です。

にほんブログ村
ランキング参加中。上のバナーを押していただくと大変うれしいです(^-^)
【掲載廃墟一覧】
今までに掲載した廃墟の一覧へ飛べます。
冬はこたつで丸くなるのが一番かも
- 2012/01/23(月) 10:39:39|
- 戦争遺跡・地下壕
-
| トラックバック:0
-
| コメント:30
すごいですねー!
巨大な遺構に憧れますが、迷いそうで怖いですね・・。
- 2012/01/24(火) 12:05:46 |
- URL |
- hi #sLdgtBxg
- [ 編集 ]
行ってみました。
強力なハンディライトと、LEDランタンを持っていったので奥深くまで探索できました。悲劇の黄色いトラックも発見しました。クレーン壕には何らかの骨がありました。ゲジは洞窟陣地などでなれたからこれからはビビる事もないかな?
次は浦郷か、六浦地下軍需工場に行こうと思います。
- 2012/01/24(火) 19:05:51 |
- URL |
- oryuu #-
- [ 編集 ]
hi さん
複雑で巨大になればなるほど面白いんですが、それだけ危険も増します。懐中電灯が使えなくなったら間違いなく遭難ですね。横須賀で遭難とか意味不明ですね\(^o^)/
- 2012/01/25(水) 05:55:44 |
- URL |
- 東雲みょん #-
- [ 編集 ]
oryuuさん
お疲れ様です(^u^)
ランタンはあると便利そうですね。今度持って行ってみます。黄色いトラックはガチで危険ですのでそっとしておいたほうがよさそうです。
自分も六浦には行きたいです!浦郷はひどくぬかるんでいる個所があるのでお気おつけて。
- 2012/01/25(水) 05:59:16 |
- URL |
- 東雲みょん #-
- [ 編集 ]
前回六浦流れてしまったので、2月に行きますか?
1月29日は千葉オフ会なのでその後で・・・
奥まで行くなら長靴必須です。
夏島のある所に、扉に仏の浮き彫りが彫ってある所が有りますよ。
探してみて下さい。
- 2012/01/26(木) 21:26:48 |
- URL |
- yakumo #-
- [ 編集 ]
yakumoさん
行きます行きます!2月の第一週目の土日とかどうでしょうか?ウェダーあるんで大丈夫です。
夏島の仏?まず夏島のどこに扉があるのかすら検討もつきませんし見たこともないんですけお・・・
- 2012/01/26(木) 21:47:38 |
- URL |
- 東雲みょん #-
- [ 編集 ]
PCのメアド知らないので写真送れないけど、高さ4mぐらいのコンクリート作りなので知ってる人は知ってます。
六浦はの水没は、すね程度なのでウエイダーまでは要りません。
それ履いていると、二階に登れません(多分)
- 2012/01/26(木) 22:16:33 |
- URL |
- yakumo #-
- [ 編集 ]
すごいっ!!
まるでトレジャーハンターの映画のようです。
行ってみたいです(><)
こういう場所だとゲジゲジとかコウモリとかカマドウマはいませんでしたか?
洞窟内でとんでもない数の巨大なのが潜んでるのを見たことがありまして・・・。
でもこんな場所があるのにはすごく驚きました!
しかも残留物とかもけっこうあるんですね。
- 2012/01/27(金) 20:16:18 |
- URL |
- りんご #-
- [ 編集 ]
りんごさん
地下壕は当時の時間に直に触れられるかなりレアな場所です。面白いですよ。行くなら懐中電灯は必須です。二本はあったほうが良いですね。
ただし、ゲジゲジとコウモリとカマドウマはわんさかいます。特にゲジゲジはあり得ないほどいるところもあります。その辺は覚悟が必要です。
- 2012/01/27(金) 23:46:12 |
- URL |
- 東雲みょん #-
- [ 編集 ]
どうもこんばんわ(・ω・)
夏島、凄まじいですね。食い入るように見させてもらいましたよ。
私は完全な地下壕に潜ったことは一度きり、城ヶ島の海岸の洞窟陣地だけなのですが、あそこは小規模なんでともかくここは1人じゃ潜れないですねw
なんというか生きて出られなさそうw
- 2012/01/28(土) 23:05:20 |
- URL |
- Toshikazu.T #qjsITxmk
- [ 編集 ]
Toshikazu.Tさん
城ケ島要塞の洞窟陣地は一度行ってみたい場所です。一人でもMP3で音楽聴きながら入ると、割と平然と行けますよ。自分の場合虫が怖いので。基本は懐中電灯一本あれば大丈夫ですよ!
- 2012/01/30(月) 03:39:59 |
- URL |
- 東雲みょん #-
- [ 編集 ]
六浦行って見ましたが、水没はなかったと思います。yakumoさんの見つけた壕は行ってないので不明。他に貝山、浦郷、船越に行きました。(船越では、監視壕以外は見つからず)
- 2012/01/31(火) 23:01:18 |
- URL |
- oryuu #-
- [ 編集 ]
oryuuさん
まことにお疲れ様です!
貝山地下壕は規模も内容も充実してていい壕ですよね。
船越地下壕は自衛隊側が通行できなくなったらしく、旧トンネルから侵入します。ちょっと苦労しますが、内部の階段構造やトイレといったとても面白い掘削が見られてかなり満足します。その監視壕というのは見たことありません。
- 2012/01/31(火) 23:47:38 |
- URL |
- 東雲みょん #-
- [ 編集 ]
コメントにレスありがとうございます(・ω・)
城ヶ島のあそこはゲジゲジとフナムシのコンボです。
季節柄、一箇所に固まって冬眠状態ですが相当おぞましいですよw
頭上や道の突き当たりを警戒してください
私はソロで初心者だったので奥の奥までは入らなかったのですが、物凄い土の匂いが充満していました。壕というのはそういうものなのでしょうか。
他の方のページ等を見るとどうやら崩落しているようですが、階段を登っていくと緊張感のせいか、空気が薄いせいかわからないのですが、頭が痛くなってきたので崩落地点までは行かずに引き返しました。
- 2012/02/01(水) 23:36:09 |
- URL |
- Toshikazu.T #qjsITxmk
- [ 編集 ]
Toshikazu.Tさん
あーうん、やっぱりゲジいましたか・・・
自分はなぜかフナムシは何匹いようが大丈夫なんですが、ゲジは死ぬほど嫌いなのです。奴ら一か所に御丁寧にも固まっていて気色悪すぎる。事が済んだら全て焼き払ってやる!
地下壕はかなり土のにおいしますね。
地下壕に限らず廃坑道なども閉塞している場所は特に酸欠が危険です。気分が悪くなったら引き返すのが賢明ですね。
- 2012/02/02(木) 03:54:16 |
- URL |
- 東雲みょん #-
- [ 編集 ]
あそこは上部の入り口から入った場合は、壕の中央付近に落ちて逝きます。
そこから左右に広がるので、oryuuさん 半分しか見ていないのかも知れませんね?
データを確認しましたが、ウエイダーの膝まで浸かったtonotamaさんの写真もあります。
その時は雨で増水してましたが、奥には水没区があります。
では、週末よろ!
- 2012/02/02(木) 22:33:21 |
- URL |
- yakumo #-
- [ 編集 ]
そうでしたか。今回は薬品の方はまわっていないので、もしかしたら水没していたかもしれませんね。
まちっがた情報すいません。
土日は空いているんで、ぜひ一緒に潜りたいです!
ウェーダーないけど…まぁいいか!
- 2012/02/02(木) 23:49:59 |
- URL |
- oryuu #-
- [ 編集 ]
やはり今回はウェイダー持ってきます。せっかく買ったので、実戦投入してみます。
- 2012/02/03(金) 02:09:27 |
- URL |
- 東雲みょん #-
- [ 編集 ]
上記の膝まで水没と書いたのは、雨季の為で、普段は長靴程度です。
では、参加を希望する方は前回連絡不能で流れてしまった経緯があるので、このブログの非公開コメにて、自分のメアド入手後(PC、携帯共にみょんさんに連絡済)必ず自分の携帯メールに連絡下さい。
折り返し待ち合わせ場所等を連絡します。
東雲みょん様、ご面倒ですが中継の方よろしくお願いします。
- 2012/02/03(金) 06:32:38 |
- URL |
- yakumo #-
- [ 編集 ]
それでは、非公開で参加希望を書きこんでもらえれば、自分がその方の連絡先にyakumoさんのメールアドレスを送る形でいいんですね?
- 2012/02/03(金) 17:06:50 |
- URL |
- 東雲みょん #-
- [ 編集 ]
夜間はPC開いてますが、日中は携帯しか対応出来ません。
取りあえず、自分の携帯にメールをいただき、こちらから、詳細を返信します。
バス通りの商店街でピックアップになるので、待ち合わせ位置が変わる場合があります。
朝早めで良ければ、六浦の後に希望の所を案内します。
- 2012/02/03(金) 20:28:39 |
- URL |
- yakumo #-
- [ 編集 ]
東雲みょん様のメールが確認できましたら、極力早めにご連絡下さい。
他の参加者の方々に場所等連絡できない状態です。
連絡頂きましたら、1時間以内に返信しますので、自分から返信が無い場合付着事故だと判断し、東雲みょん様にその旨ご連絡下さい。
- 2012/02/04(土) 06:35:04 |
- URL |
- yakumo #-
- [ 編集 ]
連絡が取れない様なので、面倒なので公開公募のします。
京急追浜駅前のセブンイレブン前に8時半集合、現着9時状況開始予定!
六、比、船予定かな?
- 2012/02/04(土) 18:44:00 |
- URL |
- yakumo #-
- [ 編集 ]
連絡が取れない様なので、面倒なので公開公募にします。
京急追浜駅前のセブンイレブン前に8時半集合、現着9時状況開始予定!
六、比、船予定かな?
- 2012/02/04(土) 18:45:18 |
- URL |
- yakumo #-
- [ 編集 ]
tonotamaさんTVデビュー!(写真提供)
ちなみに2月16日(木)の『スッキリ!!』という番組内の
9時過ぎ頃に放送している『スッキリハウジング』というコーナーです。
浜○磯洞窟砲台らしいが、なんだろう?
誰か録画してYOUチューブUPしてくれ、仕事で見れんじゃないか!
- 2012/02/14(火) 21:54:44 |
- URL |
- yakumo #-
- [ 編集 ]