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廃墟を旅する 

産業遺産や戦争遺跡、時を超えた郷愁への旅路へ・・・

【娯楽系廃墟】スカイレスト ニュー室戸

不思議な造形美の魅力

スカイレスト ニュー室戸

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四国は高知県の室戸岬。
四国にありがちな急こう配の坂道を上って行くと、突然視界の中に異様な造形の建造物が飛び込んできた。それはまさに異様。その場の雰囲気に溶け込めない、不自然な建物だった。四国に来たら必ず見ておきたい廃墟、『スカイレスト ニュー室戸』そのものである。
この特異な造形の建物が廃墟になってからすでに20年ほどが立っているようだ。自分が初めてこの廃墟を見たのは雑誌の中だった。その時は外装もまだしっかりしており、ガラスもあり、内部には残留物が残っていた。だが、年月とはやはり残酷なものであり、この数年でかなり破壊が進んだようで、ガラスもなく、遺跡のような外見になっていた。

今回は、時間とともに少しずつ容姿が変化した、現在のニュー室戸を紹介する。


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ニュー室戸と言えばこのロボットのような外見が有名だ。建物は三本の円柱の支柱からなり、その支柱の内部は螺旋階段になっている。
スカイレストと書いてあるが、なんのことはない、見晴らしが良しことを売りにしていた名残だ。実際この場所は室戸岬の先端に近く、見晴らしはかなり良い。だがアクセスが悪すぎる。廃墟になるのは当然過ぎたことだ。


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この造形を余すことなく見て見よう。正面からみると何かの生き物に見えてくる。


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上部。痛々しいほどに破壊が進行している。本来ならガラス張りになっていた上部構造は見る影もない。この場所の気象条件はかなり厳しいと思われる。人が手をかけないと簡単に建物は崩壊してしまうのだ。


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それにしても面白い。


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これはニュー室戸を後方から見たもの。得意な造形はここでも見ることができた。円柱部分に見える窓は、螺旋階段についているものである。


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ではさっそく内部に入ってみよう。


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内部もボロボロである。これが自然によるものなのか人為的なものなのかは不明。おそらくどちらも要因だろう。


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一階はさして見るべきものはない。以前はいろいろ残留物があったようだが、それもどこかに行ってしまったようだ。


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どの部屋も激しく破壊されている。


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天井は穴が開き、ガラスは一枚も無く、床には何かわからない残骸が散らばる。


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仕方がないので螺旋階段を登り二階に向かう。


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螺旋階段内部。先ほど外で見た窓枠があった。


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手すりも錆びている螺旋階段。螺旋階段には不思議な魅力がある。螺旋が永続的な空間を連想させてくれるからだろうか。


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この階も瓦礫しかない。何もない場所からは海と夕暮れの空が見られた。


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床には当時のものであろう木材が落ちている。バラバラで何だったのかわからない。


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殺風景という言葉が似合う。


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屋根に溜まった水が空の青を映している。空の青と、海の青と、廃墟の青。


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さぁどんどん登ろう。


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またも瓦礫だらけの上階についた。


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この階にはレストランらしいカウンターが残っていた。


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だが、やはり残留物はほとんど残っていない。


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瓦礫しか残っていない、テラスになっている場所に出る。


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自然の中に不自然な廃の風景。


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この廃墟に滞留しているのは破壊の美学だ。それも自然の経過による破壊。それはすべての物に必ず訪れる最期の輝きだ。いずれか人類文明はこの廃墟と同じ姿になることだろう。


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隣には現役の電波塔が建っている。まるで前時代の遺物と現在の最先端が対比されているかのようだ。


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そんな最先端もいつしか遺物になる時が来る。はたして人間は進化と開拓をし続け、すべて廃になる未来を回避することができるだろうか。


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この廃墟は人間の未来を暗示しているかのようだ。いや、この廃墟だけではない。それは廃墟のすべてに言えることだが。


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また螺旋階段を登って最上階に向かう。


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着いた。


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そして現れる三本のモニュメント。


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夕暮れの空にくっきりと映えるそれは、墓標のように見えた。


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これはなんらかのアート作品なのだろうか。だがもはや何であるかは解るよしも無い。
芸術家である岡本太郎はかつてこう言った。「グラスの底に顔があっても良いじゃないか」と。
廃墟の屋上に変なアートがあってもいいじゃないか。


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手すりが付いて登ることができる。さすがに登らないが。


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もう誰も登ることもないだろう。


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ニュー室戸版「太陽の塔」


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絶景が広がっている。空には急速に夕闇が近付いてきている。


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岬の先端が見える。こんな風景ジブリ映画で見たことある。


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名残惜しいが幻想の世界から現実へ帰る時間になった。戻るとしよう。


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再びの螺旋階段。螺旋階段と言ったらやっぱり上から見て見たくなる。


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いつか来たいと思っていた廃墟だったが、予想以上に良い廃墟美を見せてくれた。


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ニュー室戸がある場所から降りてきた。この場所から見上げると、あの三本の支柱だけが見て取れる。近代構築物が居並ぶ中で、自らをなお主張しているのか。


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残照が室戸岬の遺物を静かに照らしていた。

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芸術は爆発だね
  1. 2012/02/20(月) 07:19:55|
  2. 娯楽系廃墟
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

足摺岬の次は室戸岬ですか・・・。お疲れ様です(;´∀`)
ヴァンガード竜串は解体されたと思ってましたがまだあったんですね。あまり写真ないのでかなり楽しめました。
ここはすごく有名だけど古い写真が多いし、貴重な情報になりました。
もしやこの室戸、竜串の後で行ったんでしょうか・・・。四国は移動だけで1日使いそうですね。
  1. 2012/02/21(火) 12:27:11 |
  2. URL |
  3. 嵐 #JalddpaA
  4. [ 編集 ]

嵐さん
足摺岬から室戸岬への移動でした。
有名な廃墟ほど古い写真がメインで、それをイメージしていると、現在とのギャップに驚くことになりますね。このニュー室戸もかなりのギャップが生じました。廃墟は日々刻々とその姿を変えていますから、タイムリーな情報を手に入れるためにも、廃墟に行こうと思います。
  1. 2012/02/21(火) 17:15:37 |
  2. URL |
  3. 東雲みょん #-
  4. [ 編集 ]

廃墟を旅する  管理人様

はじめまして。

サビれたブログ
管理人のjunk555です。

始めたばかりの未熟なブログですが
よろしければ相互リンクを希望いたします。


よろしくお願いします。
  1. 2012/02/26(日) 21:33:26 |
  2. URL |
  3. junk555 #-
  4. [ 編集 ]

junk555さん
どうもはじめまして(^u^)

リンクしておきました!よろしくお願いします。
  1. 2012/02/27(月) 16:42:40 |
  2. URL |
  3. 東雲みょん #-
  4. [ 編集 ]

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