廃墟を旅する 

産業遺産や戦争遺跡、時を超えた郷愁への旅路へ・・・

【廃線】屋島ケーブル

歴史とともに眠る

屋島ケーブル

IMG_8823_R.jpg
香川県の屋島である。
かつてこの屋島の地は戦場となった。源平の合戦の一つである「屋島の戦い」である。平家はこの自然の要害を使い態勢を立て直そうとしたが、義経率いる源氏軍の前に敗北し、屋島は陥落。平家は四国の拠点を失い敗走。最後の決戦、「壇ノ浦の戦い」に挑むのである。
それからどれほどの月日が経っただろうか。屋島は観光地となっていた。山頂にある四国霊場八十四番の「屋島寺」を中心に、景勝地として人気を博したのだ。だが、レジャーの多様化や交通の不便さなどが重なり、山頂の土産物店や宿といった施設が軒並み廃墟化していく、苦しい時期を迎える。
今回紹介する「屋島ケーブル」も、そんな廃墟化の波に抗えず、廃線となってしまった一つであった。


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屋島ケーブルは屋島登山鉄道の所有するケーブルカーであった。設立されたのは戦前であり、前述した山頂の屋島寺に行くための唯一の公共機関であり、動力交通手段であった。大東亜戦争中の1944年に、不要不急線として運航が休止する。不要不急線とは字のごとく、戦時に必要ないので資材を提供せよ、という命令により、休止した路線のことである。だが戦後復活し、運航を再開した。1961年に屋島ドライブウェイが開通し、唯一の交通手段では無くなったが、運航は支障なく行われる。
このケーブルカーが廃線になったのは、屋島観光そのものが衰退したからだ。これも前述したように、屋島観光の衰退にともない山頂には一大廃墟群が現れ、この屋島ケーブルの経営も逼迫するようになった。そして、2004年に屋島登山鉄道が自己破産し休止線となり、その後、運航の歴史に幕を閉じた。
歴史は繰り返すとよく言うが、屋島の栄枯盛衰は繰り返したようだ。

上の写真は、二つある屋島ケーブルの駅の一つ、「屋島登山口駅」である。内部に入ることはできなかった。


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ケーブルカーの廃墟と聞いてどんなものだろうと思っていたが、裏手に回ってみるといきなり車両が停車していた。このようになっているのか。


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真正面から見る。全体からはレトロな雰囲気が漂ってきている。こいつがつい最近まで運航していたのかと思うと、よくここまで頑張った、という気持になる。


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ここに停車している車両は「1」と書いてある。山頂にもう一両同じ車両が存在し、その車両には「2」と書いてある。この二両の車両には愛称があり、1を「義経号」と言い、2を「辦慶号」と言っていたらしい。運航最後の日は機械故障の影響で終日運転が出来ず、「弁慶の立ち往生」という悲しい最後を迎えてしまったようだ。


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車内の様子。こんなハンドルで大丈夫か?と思ってしまったハンドル。


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外の光が差し込む以外、車内は物音ひとつしない。


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ひび割れた外装に「屋島」の文字が書かれていた。


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空中線のための支柱。こういう構造の鉄塔は大好きだ。


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空中写真からでも確認可能な細い線路が、山頂までほぼまっすぐ伸びている。
謎のおじさんが一人上から下りてきていた。


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駅と義経号


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この屋島ケーブルは運転再開の署名運動が行われているようだ。だが、運転再開の兆しは無い。


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この車両が山頂の弁慶と再会する日は、たぶん訪れないだろう。他の多くの廃墟がそうであったように。


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それでは、登山口はこれくらいにして、山頂のほうに行ってみよう。


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良い雰囲気の変電施設。「変電室」と書かれた文字のフォントが「絶望先生」で使われているようなフォントで素敵である。


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ということで「屋島山頂駅」に到着した。
見てわかる通りに、何でこんな構造にしたの?と聞きたくなるような斬新な駅舎だ。だがそこが、今となっては魅力のポイントとなっている。


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これ自体相当古い建物だろうと推測できる。戦前の建物ではないだろうか。


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趣のある駅名を現すプレート。


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「摩耶観光ホテル」を彷彿とさせるような作りである。きっと内部はさぞかし面白いのだろうが、侵入できず。


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裏側に回ってみると、静かに車両が停車している。これが弁慶号である。


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かつてはここから乗客が出入りしていたのだろう。光を受けて輝いている。


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正面から見る。つくりは義経号と一緒のようだ。


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こちらの駅は下に向かって急こう配となっている。気をつけないと転びそうだ。


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屋島ケーブルの運賃は、大人で往復1300円もしたようだ。これでは客足が遠のくのも当然かもしれない。


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誰もいないホーム。


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乗降確認のための鏡であろう。だいぶ曇ってしまっていた。


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運転席。こちらも義経号同様簡素な作りとなっている。


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ホームからすぐの場所に、この線路唯一のトンネルが見える。そしてかなり傾斜のついた線路。


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トンネルを抜けて下に延々と続いている。


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トンネル内部。外壁の作りが戦中の急造掩体の作り方と似ている。


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線路にあった№82と書かれたプレート。


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線路より、ホームと車両を見る。


IMG_8943_R.jpg
陰影の中に白と赤のラインが鮮やかに浮かぶ。


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「祇園精舎の鐘の声・・・」から始まる平家物語冒頭には、この世の常と廃墟が出来る真髄のようなことが全て書いてある。昔の人が考えたことと、今現在の人間が考えることは同じである。盛者必衰であり、あたかもそれは、風の前の塵に同じなのである。


IMG_8960_R.jpg
この世界の全ての物は唯春の夜の夢のごとし。幻想の世界は、はたして何時まで続くだろうか。

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  1. 2012/03/15(木) 05:51:41|
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  4. | コメント:5
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コメント

ここ行ってみたいと思ってたんですが、
遠すぎていけないです。
遠くまで行けていいですねぇ。
  1. 2012/03/16(金) 21:05:11 |
  2. URL |
  3. yopo #LkZag.iM
  4. [ 編集 ]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2013/03/18(月) 21:26:32 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集 ]

余談ですが、25年1月に、弁慶義経が再開したようです。

http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/locality/20130122000126
  1. 2014/03/19(水) 21:16:33 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

これって水曜どうでしょうでも出たことあったようなないような・・・
  1. 2015/05/07(木) 22:02:54 |
  2. URL |
  3. FUGA #43mdhuVM
  4. [ 編集 ]

FUGAさん

水曜どうでしょうは自分も大好きですよ!
出たとすれば四国八十二箇所めぐりのときでしょうかね
  1. 2015/05/15(金) 09:33:43 |
  2. URL |
  3. 東雲みょん #-
  4. [ 編集 ]

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